2.
オーウェン隊長の作戦遂行能力

 近衛騎士として働き始めて三ヶ月、ちょっとした規模の合同演習が行われることとなった。ケイム王子が公務で外出したときに、外で襲われたことを想定して行う軍事訓練である。王都を出て外交に向かう場合、通る道というのはどうしても限られてくる。もちろん、襲われやすい道というものも。
 王子の近衛隊は全部で六チーム存在するが、そのうち二チームが、非番のときなどをうまく使って合同で訓練する予定になっている。すなわち、襲撃する側とされる側に分かれて訓練するわけだ。
 ボクの所属するシン隊長のチームは襲撃側になり、襲撃される側はオーウェン隊長のチームになった。最初、この組合せはどうかという話もあった。襲撃する側とされる側で、夫婦が別れてお互いに戦うことになるからである。しかし、夫婦本人たちが特に問題ないと言い切ったため、そのまま行われることとなった。
 襲撃される側が、どの道を通るかと言うことは事前には知らされない。ただ、候補から外れることはないので、それぞれの候補の中で、襲撃しやすいポイントに罠を張り、王子に見立てた人形を奪い取るという訓練だ。襲撃される側は、人形を奪い取られないように行動する。
「道の候補は三つ。部隊を三つに分けることも出来るが、襲撃の成功率が著しく下がるだろうな」
 今、襲撃作戦の会議中である。シン隊長が広げた地図を差して、候補の三つの道を指した。
「それなら、候補を絞れるようにしたらいいんじゃない? 通れない道だったら、引き返すとかして、別の道を行くことになるでしょ? たとえば、この山道なら、崖崩れか何かを起こして通れないようにしておけばいいんじゃない?」
「なるほど。しかし、都合良く崖崩れが起こせるかな?」
「あ、それなら、ボクが魔法で崩せます」
「ヤエル、正解」
 サラさんがにっこりした。
「ヤエルの魔法は、切り札だから……裏工作のためだけに使うのは勿体ない気もするな」
「ねぇヤエル、真紅の爆撃、何発撃てる?」
「そうですね……、最後まで立っていなければならないということなら、七発が限度ですかね。撃ちきって気を失ってもいいなら、八発」
「そんなに撃てるのか?」
 シン隊長が驚いた様子で言った。
「真紅の爆撃は中級レベルの魔法なので、魔力の消費はさほどではないです」
「炎のロンドは撃てる?」
「真紅の爆撃よりは発動に時間がかかりますが、撃てます」
「けっこう消耗する?」
「真紅の爆撃とあまり変わりはないです」
「んふふ、火攻めが出来るね」
 サラさんはうっとりと、少し怖いことを言った。
「向こうも、ヤエルが魔法を使ってくることは予測してるだろう。最初にたたきつぶそうとすると思う。ヤエルを、どうやって活かすかが、俺たちの作戦の肝になるだろうな」
 隊員全員で意見を出し合い、ボクたちは、ひとつの作戦を立てた。出来る限り本物の襲撃者に近い形にしようと言うことがテーマになった。そうすることで、この国の警護の穴を探る目的もある。
 結局、ボクたちのチームは二手に分かれた。道の一本はサラさんの言うように、魔法で通れないように細工した。予測として、オーウェン隊長のチームが、もし潰された道を通るのであれば、また、一番太い道を通るのであれば、シン隊長が率いるA班が待ち伏せる道を通ることになるだろう。そうでない場合は、ボクとサラさんがいるB班の道を通ることになる。B班は、四人。ボクとサラさん、そして同僚の二人だ。同僚の二人は剣術の使い手で、純粋に剣術だけで比べれば、ボクやサラさんなんかよりも実力は上である。
 足止めさせるために罠を張り、待機位置へと移動する。どこにどんな罠を張って、どう動くかと言うことは、サラさんがほとんど決めた。もちろんボクや同僚なども意見を言ったけれど、サラさんの意見が一番よい作戦だったのだ。
「なんか、えげつないよなぁ」
 B班所属で同僚のひとり、カインさんが言った。
「これ、死人とか出るんじゃないか?」
 もう一人の同僚、アベルさんが言う。
 ボクたちが陣取っているのは森の中の山道。道の途中で、足止めのために土の精霊を召喚する魔法陣を用意しておく。それに引っかかればよし、それを不審に思って立ち往生してもよし。そこを避けて移動した場合の移動先にも罠が張ってある。後ずさった場合にはボクたちが待ち受ける。罠のほとんどはサラさんが作った。昔はよく森で罠を張って獲物を捕まえていたとかで、喜々として作業していた。
 罠その一は、丸太の振り子。道の上に立ち往生しているところに、綱を斬ると、高いところに留めておいた丸太が振り子状に襲いかかり、道の上にいる人たちをなぎ払う。ケイム王子の代わりが馬車に乗っていれば馬車に守られて、馬車は倒れても中は無事。道を歩いている場合は身長に合わせて頭上を通過して行くようにしてあるので問題なし。
 罠その二は、道を迂回したところを網でつり上げ。オーソドックスな罠だけれど、罠を避けたところに隙が出来るので引っかかる率は低くないという。その後は臨機応変に。
 ボクはできるだけ離れたところから魔法と弓とで援護。カインさんとアベルさんは前面に立って、サラさんは変幻自在に動くという作戦。
「向こうもある程度読んできてるんじゃないですかね?」
「平気よ。森の中での行動力は、近衛の誰より私の方が上だもの」
 サラさんは自信たっぷりだった。
 罠を張り終わって森に潜むようになると、サラさんの気配はわからなくなってしまった。土の精霊とは対話出来るから、地上にいるならある程度、どこにいるのかは察知出来るはずなのに。
 しばらく待っていると、うっすら霧のかかる森の道を、馬車がやってきた。完全に箱形の馬車だから、荷物の輸送用と言うよりは乗車用という感じだ。周囲には六人ほどの護衛が見て取れる。少し離れているうえ、護衛たちは一様にローブを着ているからケイム王子の近衛かどうかわからないが、そうである可能性は高そうだ。
 馬車とその護衛たちは、魔法陣の少し手前で歩みを止めた。護衛のひとりが、魔法陣を見に行く。そろそろ迎撃開始かと思った瞬間、少し離れたところで、トーンという音が響いた。馬車の護衛たちが周囲を警戒する。しかし次の瞬間には丸太が襲いかかっていた。丸太は馬車にぶち当たり、護衛ごと馬車を吹っ飛ばした。馬が、急なことに驚いて暴れている。ボクは馬に対して銀の子守歌をかけた。馬は静かになった。
 それと同時くらいのタイミングで、カインさんとアベルさんが、一行の背後から道に飛び出した。吹っ飛ばされた護衛たちを手際よく気絶させて行く。それに気づいて魔法陣を見に行った人が戻ってくる。この人だけ丸太の被害を逃れた。二対一なので二人に任せれば大丈夫じゃないかと思ったのだけれど。
 一瞬のことだった。カインさんとアベルさんは簡単に吹っ飛ばされた。その太刀筋を見るに、生き残ってる一人はオーウェン隊長かもしれない。ならば。
「大地の精霊、たくましき土の民……我が召喚に応じ、姿を現せ」
 ボクは土の精霊ノームを召喚した。二人を倒した剣士にまとわりつかせる。その上で、弓を射掛けた。剣士はノームにあわてていたが、弓矢はすんでのところでよけた。ボクは移動を開始した。弓は一箇所にとどまって撃つと居所がばれて反撃にあいやすい。
 一人生き残った剣士は、こちらへの追い討ちはかけず、馬車の様子を見た。相変わらずまとわりついているノームにおびえているように見える。
「あの人だけ生き残ってる」
 不意にすぐ近いところでささやき声がして、ボクは声を振り向いた。そこにはサラさんがいた。ボクと同様、茂みに身を隠しながら剣士の様子を伺っていて、ボクとは違って手斧を携えていた。
「この後どうしますか?」
「あの人が馬車から離れたら、魔法陣の少し先の辺りの道を、魔法で破壊してくれる? 復旧不可能なくらい徹底的に。後のことは考えなくていいからね。あの人の相手は私がするから」
「……わかりました」
 ボクはサラさんと別れた。森の中を移動し、魔法が通りやすい場所を確保する。魔法陣の少し先は、道が緩やかに湾曲して、道の片側が上へ垂直に伸びる崖になっており、その崖を崩せば道をふさぐことが出来そうだった。
 生き残りの剣士が、馬車の中の人形を伴って、迂回路の方へ移動を開始した。ボクは場所を確保すると、まずはノームを召喚した。そして、次の魔法のために集中を開始した。徹底的に崖を破壊するとなれば、魔法の一撃にかける魔力を高めねばならない。難易度の高い魔法を使うよりも、低難易度の魔法に普通より多くの魔力を注ぎ込んだ方が、確実性が高く、制御しやすい。
「始原よりうまれし火竜の息吹よ……我が剣となりて全てをなぎ払え……フレイム・ド・ラ・ガー・ディ・ラント……!」
 魔法を放った。ドッという鈍い音の後一瞬の間をおき、崖が崩れ始める。この崖崩れの被害が下手に広がらないよう、ノームに指示を出す。崖崩れが落ち着くまで、集中は解かなかった。森の植物に火がついたりしないようにも気を配る。水風精霊魔法が使えれば消火活動は簡単になるが、残念なことにボクは使えない。霧が出ていて湿気が多いのは幸いだった。
 崖崩れが収まり、ボクはほっと息をついた。次の瞬間、寒気を感じた。一瞬のためらいもなく横に身を投げ出す。ボクが一瞬前までいた場所に、短剣が突き立っていた。
「ノーム!」
 叫びに応じて、ノームがボクを襲った相手に飛び掛る。ボクは転がるようにその場を逃れ、立ち上がって剣を抜いた。相手に向き直ると、それはオーウェン隊長に間違いなかった。隊長は、まとわりつくノームを無視してボクに切りかかってくる。一撃目をかろうじてかわし、反撃に出ようとしたが、そこまでだった。ボクの首筋にはオーウェン隊長の剣の切っ先が突きつけられていた。
「降伏するなら命は取らない」
 静かな声でオーウェン隊長が言う。
「降伏します」
 剣を捨てて両手を挙げた。突きつけられた剣の切っ先から目を転じて、オーウェン隊長の顔を見ると目が合った。
 ボクは、寒気を覚えた。ひどく冷酷な顔をしている。普段の顔とはまるで違う。人の心をなくしたような感じの目だ。ボクが凍りついていると、一呼吸の後に、オーウェン隊長はゆっくりと剣を引いた。ボクが一息ついた次の瞬間、隊長はまとわりつくノームをちらりと見ると、声もなく、倒れて行った。
「え」
 隊長は斜面を滑り落ちて行く。ボクはあわててノームと一緒にそれを止めた。少し心配になって様子を確かめたが、隊長は気絶しているだけのようだ。
 周囲を見回した。迂回路の方を見ると、網の罠が吊り上がっていたが、その中に入っているのは人形だけだった。その下の方で、サラさんが倒れているのが見える。この中で生き残っているのはどうやらボクだけのようだ。
 ボクはひとつ、大きなため息をつくしかなかった。

 結局、訓練自体は有意義なものだったが、被害が大きすぎたということで、シン隊長のチームに罰が与えられることになった。シン隊長とサラさん、ボクの三人が呼び出され、レグナー大将軍から説教を食らって、その処分を言い渡された。シン隊長には減給二ヶ月。サラさんとボクは減給三ヶ月と謹慎三日という処分だった。ボクの魔法で道を破壊したため、ボクの罪が重くなったということらしい。サラさんは首謀者だからボクと同等。シン隊長はそれを見過ごしたということで、この処分となったようだ。
「以上だ。下がってよし」
 レグナー大将軍がため息混じりに言った。
「道は壊れてしまいましたが、これで、襲撃されやすい道は減りましたね」
 説教を食らってる間もそんなに堪えた様子を見せていなかったサラさんは、にっこりしてそんなことを言った。レグナー大将軍がきょとんとしている間に、失礼しますと言ってさっさと行ってしまう。ボクもあわてて後を追うように、大将軍に頭を下げて、部屋を出た。
「思ったより軽い処分でよかったな」
 やはり部屋を出てきたシン隊長が、ニコニコしながら言った。
「軽い、ですか?」
「幹線道路を二つ壊してるから、左遷とかあるかと思ったけど、そういうこともないし。まぁ、二人が一番がんばってたんだから、謹慎は休暇だと思ってのんびりすればいいよ」
「処分が下ることがわかってて、止めなかったんですか?」
 ボクは驚いてシン隊長に言った。
「襲撃されやすい道をどうにかする絶好の機会だったし……。なぁ、サラ?」
「はい。この訓練の目的って、訓練に見せかけて国内の危険な場所を排除するってことだったんでしょう? 目的が達成出来て、よかったです」
 サラさんは満面の笑みを浮かべて言った。ボクは、唖然として二人を見るしかなかった。そんな話は聞いていない。
 ボクはそのまま、自宅へ戻ることになった。魔法も久しぶりにかなり使ったので早く休みたかった。結局あの後、全員に回復魔法をかけなければならなかった。最初に起こしたのはオーウェン隊長だ。そのときにはノームを返していたのでまたすぐに気絶することはなかった。その後カインさんとアベルさんを起こし、オーウェン隊長のチームを起こした。サラさんはオーウェン隊長が介抱しているうちに目が覚めたようだった。
 ボクは風呂に入ってすぐに眠った。一分もしないうちに意識は飛んだが、いつの間にか夢の中に入っていた。疲れ果てているときによく見る悪夢だ。うなされていることは理解出来ているが、夢から抜け出すことがなかなか出来ない。わかっている。これは本当のボクじゃない。この肉体はボクのじゃない。
 はっと飛び起きた。夢だったことを認識する。窓の外は暗く、部屋の中ももう暗かった。再びベッドに体を横たえたところで、部屋の扉がノックされているのに気づいた。居留守を使おうかとも思ったが、再びノックが響いたので出ることにした。部屋の明かりをつけながら玄関へ向かう。
「はい」
 扉を開けると、そこに、意外な人物が立っていた。
「少し話せるか?」
「あ、はい。どうぞ……散らかってますけど」
 ボクは、オーウェン隊長を部屋の中に招き入れた。
「寝ていたのか?」
「はい。魔法を使いすぎて、疲れていたので……」
「そうか」
「お茶でいいですか? それとも、酒の方がいいですか?」
「いや、いい。すぐ帰る」
 とりあえずオーウェン隊長にイスを勧めてみたが、断られてしまった。自分だけ座るわけにも行かず、寝起きでだるかったが、ボクも立っていることにした。
 隊長は少し考えて、ひとつ咳払いをしてから言った。
「……どうして、俺を一番初めに起こした?」
「え」
 一瞬何のことかわからなかった。謹慎を食らう羽目になった訓練のときのことだと改めて気づく。
「敵勢力だろう。普通はサラか、同じチームの人間を起こすべきじゃないのか?」
「……あのときは、ボクが降伏を宣言した段階で、既に、訓練の方は一段落してましたし……。手近なところから起こすのが手っ取り早いと思って」
「理由は、それだけか」
「……もっと他の理由が必要ですか?」
 ボクが尋ねると、オーウェン隊長はため息をついた。
「お前は、俺が気絶した理由に気づいているだろう?」
 その視線には射すくめるような鋭さがあった。しかし、訓練中刃を向けられたときのように、冷酷という感じではない。
「……まぁ、あれです。ボクが隊長を最初に起こしたのは、隊長が気絶した状態で他の人を起こしてしまうと、ボクが隊長を倒したことになって、本当は隊長が勝ってるのに結果が覆ったりしてしまうからです。後、ダメージが少ない人を先に起こせば、他の人の介抱とかしてくれると思って」
 完全な嘘でもないが、今思いついた屁理屈をボクは並べた。
「……貸し、ということか」
「さぁ、そういうつもりじゃありませんけど。……それはそうと……、よくサラさんをたたき伏せられましたね」
 普段の様子などを知っているからこそ、サラさんに対しては全然手を上げられないのではないかと思っていた。だから、サラさんが一人で気絶している状況でボクに向かってきたのが、けっこう意外だった。
「任務遂行を優先しただけだ。サラは、保護対象をかばいながら戦う俺には勝てるだろうと踏んでいたようだが、保護対象の安全が確保出来れば普通の一対一の戦いだ。サラには絶対に負けない」
「網で吊り上げる罠に人形がかかってましたね……」
「網にかかれば、保護対象の当面の安全が確保できる。その後すぐにお前を倒せば確実に安全が図れると踏んだ」
「さすが……敵の罠を利用するとか、普通は取らない作戦ですよね。くぐってきた修羅場の数が違うってことかな……」
 ボクは素直に感心した。そして、あのときの隊長の視線を思い出した。あの凍りつくような視線。今思い出してもぞっとする。本当にくぐってきた修羅場の数が違うのだろうと確信させられた。
「もしお前がもっとレベルの高い精霊使いだったら、俺は負けていたかもしれない」
 薄く自嘲気味に笑って、オーウェン隊長は言った。
「そうですか? ボクに切りかかってきたオーウェン隊長は、無敵だったと思いますよ」
 すると、オーウェン隊長はくすっと苦笑した。
「あれは余裕を失って必死だっただけだ」
「結果が全てですよ。オーウェン隊長のチームが勝った。それだけのことです」
 ボクがきっぱりというと、オーウェン隊長は少し居住まいを正した。
「……サラの作戦に巻き込んだおかげで、謹慎を食らわせることになって、すまないと思っている。俺で力になれることがあれば言ってくれ」
「ありがとうございます、その気持ちだけで十分です」
 自分としては貸しだとは思っていないが、隊長がそう思っているならそれでもいい。
 そのとき、ボクの腹の虫が盛大に鳴った。訓練の後引き上げてすぐ説教され、何も食べずに風呂に入って眠ったため、空腹だったのだ。オーウェン隊長は一瞬きょとんとした顔をした。確実に聞かれたことを確信して、ボクは恥ずかしさで一気に体が熱くなった。オーウェン隊長は噴き出すようにくすっと笑った。
「うちに、飯を食いに来い。妻の手料理を食わせてやる」
「えっと……でも……」
「遠慮するな。それとも……、不服か?」
 オーウェン隊長の眼光が鋭くなった。これは断ってはいけない誘いだ。
「い、いえ。あの、それじゃあ少しお待ちください。さすがに寝起きの状態で出歩くわけにも行かないので……」
 そんなわけで、ボクはオーウェン隊長のうちへお邪魔することになった。サラさんはボクのことを歓迎してくれた。食事を取っているとシン隊長が差し入れを持って現れた。結局、夜遅くまで宴会に付き合うことになり、ボクはシン隊長と一緒に、オーウェン隊長の家に泊まったのだった。
 そうして、謹慎が解けた後に出勤してみると、外泊していたことがバレていた。レグナー大将軍に呼び出され、更なる処分を与えられそうになったのだが、シン隊長とオーウェン隊長が、近衛騎士の心得をボクに一晩かけて説いていたということにしてくれたので、難を逃れることが出来た。しかし、二人があからさまにボクをかばう行動を取ったこともあり、この一件で、ボクは、いい意味でも悪い意味でも、上層部から目をつけられるようになってしまった。



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